不思議なコーラ

trespass/Merry Ghostsでドラムを叩いているカノウのブログ

ロン・ホール『ヴァンパイアX』/ ロバート・ロドリゲス『フロム・ダスク・ティル・ドーン』

 今日もお土産いただきました、ありがとうありがとう…!

ヴァンパイア X [レンタル落ち] [DVD]

ヴァンパイア X [レンタル落ち] [DVD]

  • 発売日: 2006/06/02
  • メディア: DVD
 

ロン・ホール『ヴァンパイアX』(2005年・アメリカ)

 最初に伝えておく。オススメしない。コレはぶっちぎりで吸血鬼映画ワーストナンバーワンである。まだ見ぬヴァンパイアムービーは多数あるが断言できるんじゃないだろうか。こんなに早く出会えるとは思ってなかった。記録に残しておこう。

 (あらすじ)ヴァンパイアに親を殺されたロサンゼルスの警官デレクは、同僚を殺したヴァンパイアを追いつめるも逃してしまい復讐を誓う。女性ジャーナリストのモリスと出会い、(カンフー?の達人)カオ老人を師と仰ぎ武術を極め、トンファー、弓、銃、刀を手にしたデレクは仲間たちと共に親の仇でもあった凶悪なヴァンパイアに立ち向かう…

 最低だと言ってますが、別に全部を否定するわけではないんですよ。例えば、

・話の展開がもたついており90分が900分に感じられる苦行であったのは、吸血鬼映画によくあることで慣れてるし、別に構わない。

・人物や背景について全く説明せず、どうしてだか一人ずつ順番に敵が現れるアクションシーンだけを繰り返し入れてくる構成も、監督の個性や好みだろうし、さほど問題ではない。

・俳優陣の演技が素人級で声が非常に小さく場面によっちゃセリフが聞こえないのも、まあ製作費の限界などあったのだろう、大したことではない。

・囚われたヒロインがベッドに縛り付けられ大抵はサービスセクシーショットになるであろう場面が、何故美女の鼻の穴を丸写しにするような足元からのカメラワークなのかさっぱりわからないけれど、それがサービスショットかも知らんしな、特に文句は言うまい。

 しかし、コレだけはいただけない。悪玉ヴァンパイアに咬まれ吸血鬼として蘇った人間たちは揃いも揃って、頭を横に傾けながらゆらりゆらりと歩いているのだ、、、

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 ゾンビじゃないか!!!!

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ヴァンパイアだなんて認めないぞ!!!!

 

本作はとても静かな映画でして、アクションシーンなどでもコップ一つ割れる音がしませんでした(備品壊すなとか言われてたのかな)。静かすぎて落ち着かなくなったので、口直しに騒がしいのが観たくなりコチラを再鑑賞。あらゆるモノが飛び交い画面が無駄に饒舌な後半のヴァンパイアvs人間のバカ騒ぎは最高です! 

フロム・ダスク・ティル・ドーン [DVD]

フロム・ダスク・ティル・ドーン [DVD]

  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: DVD
 

 

ロバート・ロドリゲスフロム・ダスク・ティル・ドーン (1996年・アメリカ)

 (あらすじ)強盗や殺人を重ねたゲッコー兄弟はメキシコ国境を目指し逃亡、同じ頃、牧師を辞め旅をしていたフラー一家は、偶然立ち寄ったモーテルでゲッコー兄弟の逃亡に加担する羽目に。何とか国境を越えた一行は、現地組織の代理人と落ち合う予定のトップレスバークラブ「ティッティー・ツイスター」(営業は、日没から夜明けまで=フロム・ダスク・ティル・ドーン)で一夜を過ごすことになるが、そこは吸血鬼の住まう館であった。吸血鬼たちは日暮れと共に正体を現し、ゲッコー兄弟、フラー一家、屈強な客たちに襲いかかる…!

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 画面いっぱいにひしめき合うたくさんのコウモリ…賑やかで素晴らしいですね!

ホイットリー・ストリーバー『薔薇の渇き』『ラスト・ヴァンパイア』

 今回はコチラの原作の続編について。

ハンガー [DVD]

ハンガー [DVD]

  • 発売日: 2005/09/02
  • メディア: DVD
 

 トニー・スコット『ハンガー』(1983年・イギリス)

ホイットリー・ストリーバー『薔薇の渇き』(2003年・新潮社)

 本作が映画『ハンガー』の原作。カトリーヌ・ドヌーヴが長命の女吸血鬼ミリアムを演じ、恋人のジョン役にはデヴィッド・ボウイ、愁いを帯びた美しさを振り撒いとりましたよね…うっとり…私の永遠のアイドル…てのはおいといて、内容はほぼ映画と同じです。180年ほどで急激に老い始めたジョンを失うのではないかと恐れたミリアムは、老衰学の医師サラに接近し自身の血の秘密を探ろうとする…というものですが、ラストは違います。カトリーヌ姐さんが、いやミリアムが消滅するだなんてあるわけないっしょ!

 で、続編がこちらになります。

 ホイットリー・ストリーバー『ラスト・ヴァンパイア』(2003年・新潮社)

 新たな伴侶を見つけ子を宿すべく、タイで開催されるヴァンパイア集会に出かけたミリアム。会場に着いた時には既に仲間は全滅させられていた。危険を察知した彼女は慌てて逃亡を図るも「食事」をし立ち去る際に証拠を残すミスを犯してしまう。一方、逃げた吸血鬼の存在を知ったCIAヴァンパイア捜査班のポールは、仲間への警告に向かったミリアムをパリへと追う…

 ちょっと待てCIAって何だそれは、と面喰らいますが、どうやら執筆までに前作から20年経っているせいか作品世界も20年後という設定のようです。各地に隠れ住んでいる仲間がいるとかいろいろと設定が変わっているのにも驚きましたが、まあ最大の変化はミリアムの伴侶への好みでしょう。自分たちを狙い追ってくるポールをいつしかミリアムは「運命の男」だと愛するようになるんですよね…。ポールってのはCIA対ヴァンパイアチーム・百戦錬磨のリーダーでして、命を懸けた戦いの重圧を酒と女で紛らわすマッチョマンなんですよ。私の脳内ではジェイソン・ステイサムがポール役です。

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ハイ、『エクスペンダブルズ』からスタローン先輩と並んでどうぞ!

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前の伴侶はジョンだったんですよ、ボウイですよ。腕の太さがさっきと全然違う…

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もちろんジェイソン・ステイサムも格好良いですよ!運動神経抜群だし!

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でもジョンとタイプがあまりにも違いすぎて驚きましたねえ…ミリアム姐さん…

 そういえばガラっと男の好み変わっちゃう女友達いたな…どっちのタイプとも良い感じで付き合っていたよな…それって懐が深いってことよね…と思い起こせば、本作のミリアムは何とも人間臭く感じられる。さらにベテランの吸血鬼らしい超然としたたたずまいではなく、非常に自己中心的で周囲の者たちを振り回す彼女は(まあ前作から強引、我儘、移り気…そんな性格ではあったけれど)、いやはや魅力的。

 また、本作でミリアムは吸血鬼としての強さを持っているものの(超人的な運動神経や回復能力等々)、日々進歩する武器を手に人海戦術で攻めてくる人間相手に劣勢を強いられます。全体を通して彼女の弱い部分が描かれるものですから、ますます親近感が湧くというか、次第に吸血鬼モノを読んでいるというより、従来の価値観が通用しなくなった現代社会で孤独ながらも誇りを保ちつつ恋に仕事に生きる大人女子の奮闘記、にしか見えなくなってきたというか…ミリアム、ファイト!!

 ミリアムとポールはどうなるんだろう、まあポールは容易く誘惑されてたけど…と迎えたラストは修羅場。ポールを奪還しにCIAの女部下がミリアム邸へ乗り込んできて銃をぶっ放し、ミリアムを守ったサラは撃たれてしまいます、鋲だらけの弾…うわああ。助けられたポールは女部下への愛に目覚め(オイこら待て)ミリアムは逃亡。

 まあ第3巻があるので本作はこの終わり方で良いんですが(邦訳出てないので是非ともお願いします!ミリアムの息子が主人公らしいじゃないですか!)、ポールにがっかりしながら本を閉じた次第です。結局ミリアムの生き方は受け入れられないのか、チッ。銃をぶっ放し日陰者として生きる女部下のいわゆる「はみ出した」生き方はOKなのにね。

 傷心し怪我を負って逃亡するミリアムの表情は全く描写されていなかったけれども、

“現代の人間社会って許容範囲が狭いのね?あなたはどう?どこまで行ける?”

我々に向かって、ミリアムは牙を剥いているように思えてならないのです。

 

 続きが読みたい…!!!ミリアム姐さんの第三の伴侶はどんなタイプ???

 

Merry Ghosts / 2021.2.25 thu @緑橋戦国大統領

■2/25(木) @緑橋戦国大統領
“Out on the Tiles”
 
・衣笠キンパラス
・Pumpkin Sneakers
・Merry Ghosts
・The Little Little Kiyosky
 
open 19:00 start 19:30 adv 1800yen+1drink 500yen

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Merry Ghosts / 2021.1.31 sun @神戸HELLUVA LOUNGE

■1/31(日) @神戸HELLUVA LOUNGE

 

・Merry Ghosts

・土曜日と人鳥とコーヒー

・歪み堕ちる涙

 

open 17:00 start 17:30 adv 1500yen door 1800yen

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トム・ホランド『真紅の呪縛』『渇きの女王』/ポール・ウィルスン『ザ・キープ 上下』

 トム・ホランド『真紅の呪縛 ヴァンパイア奇譚』(ハヤカワ文庫NV)(1997年)

 このシリーズ、最高に面白かった…!てっきり、アメリカン・ヴァンパイア・ムービー『ナイトフライト』の監督が小説も書いていたのだと思い込んで手にしましたが、これはイギリスの作家、歴史学者トム・ホランドによるもの。過去の実在の人物を多数登場させ、少し(大幅に、かもしれませんが)史実を変えて描かれます。歴史伝奇ホラー小説とでも言えばいいんでしょうか。

 詩人バイロンの失われた回想録を求めて母親が行方不明になってしまったレベッカは、その回想録がルースヴェン卿の礼拝堂にあると知る。そこで彼女は若く美しいままのバイロンに会い、吸血鬼となって過ごしてきたバイロンの数百年にもわたる人生の物語に耳を傾けることとなる。
 親友と共にヨーロッパ大陸旅行に出たバイロンは、トルコ支配下ギリシャで、領主ヴァケル・パシャの奴隷少女ヘイデと恋に落ちる。ヘイデと手に手を取り合い逃亡したバイロンだが、パシャに捕えられ吸血鬼にされてしまう。パシャは吸血鬼たちの王たる強大な力をもつ存在であった…

 バイロンと一緒に19世紀初頭の東欧、ギリシャ、イタリア、イギリスを巡る異国情緒を味わうもよし、登場人物に『フランケンシュタイン』の作者メアリー・シェリーや『吸血鬼』を書いたバイロンの侍医ポリドリ(彼のキャラクターが素晴らしい…是非映像でも見てみたい)も出てくるので、各々の作品を背景に眺めながら本作を辿ってウフフとニヤつくのもよし、別にそんなの知らんでも、お貴族サマ的な美青年バイロンの耽美なシーンや割とグロテスクなスプラッター場面も盛り込まれとりますし、延々と自分語りを続けてきたバイロンの意図とは何ぞや?引き込まれるストーリーを堪能するもよし。

 このシリーズ映画化してくれないかなあ…せめてこの一冊だけでも良いんですけど…吸血鬼の告白という本書のスタイルは、アン・ライス夜明けのヴァンパイア』を彷彿とさせることだし、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』くらい豪華な感じで…お願いします!!

トム・ホランド『渇きの女王 ヴァンパイア奇譚』(ハヤカワ文庫NV)(1997年)

 はい、続きましてシリーズ続編。こちらも前作に負けないくらい面白い歴史伝奇ホラー小説です。バイロンとポリドリは引き続き登場しますが、独立した作品となっているのでこちらから読んでも全然問題なしです。ね、だから読んでみて。

 血液学を研究する医師エリオットは、吸血鬼伝説が今も残るインド国境で、英国軍の部隊と行動を共にし、常軌を逸した恐怖体験の後、帰国する。ロンドンで診療所を開いたエリオットは、親友の一人が血を抜かれた状態で死に、もう一人の友人が失踪したことを知る。その夫人から夫についての調査を依頼され、二人の友人が共にインド国境に関わる任務に就いていたことから、そこに原因があるのではないかとエリオットは推測、また劇場支配人であるブラム・ストーカーと知り合ったエリオットは、彼と協力しながらヴィクトリア朝ロンドンで跳梁する吸血鬼の正体に迫る…

 本作はヴィクトリア朝時代ってことで、『ドラキュラ』を書いたストーカーも登場するし、まるでシャーロック・ホームズのように推理していくエリオットがコナン・ドイルの作品を読んでいたり、虚実入り乱れております、楽しいです。ちょっとネタバレすぎるから言わないけど、この時代のロンドンといえば…のあの人も登場しますよ!
 前作ではアン・ライスへのオマージュかと思わせる形式で書かれていましたが、今回はさらに凝ってます。先も述べたけれどコナン・ドイルのホームズシリーズ、そしてストーカーの『ドラキュラ』を踏まえているのは体裁を見れば明らか、本作も手紙や手記、蝋管式蓄音機などを用いて構成されています。さらに吸血鬼と戦うエリオット自身が『ドラキュラ』と一緒、ストーリーをなぞっています。もひとつ言うなら登場人物の名前も『ドラキュラ』の登場人物とよく似ています。あ、でも単なるパロディじゃないですよ、先の読めないハラハラドキドキ展開で一気読み必至です。そうそう、血液学の専門家であるエリオットがヴァンパイアの血液を科学的に調べるのですが、そのあたりもうまく設定されてました。なるほどね…
 トム・ホランドの著作を検索したところ、2008年に発表された小説があとひとつあるようです。残念ながら邦訳されてない。読みたいなあ。『Deliver Us from Evil』、バイロン卿は出てこず続編ではなさそうなのですが、17世紀のイングランドを舞台に殺人事件を解決するため奔走する主人公の往く手に恐ろしい吸血鬼が現れる…という内容っぽいんですよ!多分。読みたいなあ読みたいなあ…早川書房サマ、お願いします!!

ザ・キープ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・キープ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

 

 F.ポール・ウィルスン『ザ・キープ』上下(扶桑社ミステリー)(1994年)

  独ソ開戦直前、ルーマニアの古城に駐屯を命じられたドイツ軍兵士たちに襲い掛かる正体不明の化け物。夜になると一人、また一人と人知を超えた手法で惨殺される奇怪な事件。その解決のため、ナチス親衛隊少佐率いる残虐さでつとに知られる特別部隊が送り込まれる。また十字架だらけの古城の謎を解くためユダヤ歴史学者父娘も連行され、不思議な能力で事件を察知した謎の赤毛の男も遠くポルトガルから単身乗り込んでくる…

 上巻は吸血鬼vsナチス、病により体の不自由なユダヤ人学者が、吸血鬼の力を使っておぞましい存在のヒトラーナチスを成敗してくれるわ!!と頑張るモダン・ホラーですがエイボンの書やら出てくるのでクトゥルフも追加しといて下さい。そして本作の吸血鬼らしき邪悪な存在はヴラド・ツェペシュ(ドラキュラのモデルになったと言われる串刺し公、15世紀ワラキア公国の公主ね)とお友達だったそうなので、えらい年くったオリジナリティ溢れる吸血鬼だぞと胸が高鳴る。ドキドキ…

  下巻で吸血鬼の正体が明かされるはず、と読み進めてビックリ、本作はホラーでなくヒロイック・ファンタジーへと変貌します。そしてアヤツは吸血鬼じゃなかった…。吸血鬼vs人間の構図を軽く飛び越えて「混沌」vs「光」の戦い、あれ…いつの間にかギリシャ神話になってる…ヴァンパイアどこ行った…

 いやーこの壮大さ、いっそあっぱれです。え、なんかイキナリすぎません?反則な気がするんすけど…てな文句も塵芥のごとし。スケールのデカさに何も言えません笑。呆気にとられますが、それも含め読後感はなかなか爽やかです、是非!

 ちなみに本作は「アドヴァーサリ・サイクル」シリーズの第1巻だそうです。そうかそうかデッカい物語の序章であったのか。しかもこのシリーズは、同作者の他の人気シリーズ「始末屋ジャック」と融合することになるのか。そりゃデッカいわ。映画化されているのにDVD日本語版がないのは残念!

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コレか…!!観てみたい…ソフト化お願いします!!

ザ・キープ〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・キープ〈下〉 (扶桑社ミステリー)