ジェス・フランコ『ドラキュラ/吸血のデアボリカ』
ジェス・フランコ『ドラキュラ/吸血のデアボリカ』(1970年 イタリア・西ドイツ 劇場未公開)
ユーロトラッシュの雄、ジェス・フランコがエロ路線を封印し、原作に忠実にドラキュラ伯爵を撮った文芸意欲作と聞いたので入手。答えは…半分当たって半分外れ(笑)
字幕が無い!のでまずは味わい深い日本語吹き替えで鑑賞(粗雑なつくりのDVDです。この日本国内盤は96年に発売、DVDが誕生した頃のものだと思えばまあ仕方ないのかもしれませんが)。
ハマーフィルム以外のクリストファー・リー演ずるドラキュラ伯爵に加えてクラウス・キンスキーがレンフィールド役だなんて!吸血鬼映画ファンならヒャッホウなキャスティング。
作品自体も良かった。ジェス・フランコ節とでもいうのかしら…盛り上がりそうな所でブツッと切れて(音楽のぶった切り方もスゴイ)次の場面への繰り返し。何とも言えないグルーヴが癖になってきた頃、斬新なラストシーンに驚く(びっくりしすぎてその場面三回観たもんね)。ハーカーやクインシー(原作ではアーサーだったよな)は無力な人間の役割を担うことが多いように思うけど、本作ではグングン攻める強いヤツです。怖いヤツです。城に帰ってきたドラキュラ伯爵の棺目掛けて岩石落としちゃうんですよ。そして燃やす。マジか、短剣で伯爵の胸を刺すんじゃないのか…原作どこ行った。
もちろんドラキュラ担いできた人夫たちも犠牲に。ちょっとやりすぎじゃないかな?
そういえば、ハーカー、君は伯爵に噛まれてなかったっけ?何でそんなに元気なの?
ロンドンでのドラキュラ邸に乗り込んだハーカーたちvs剥製らの戦いも良い映像だった。
ちょっとだけ剥製が動きます。
ドラキュラ伯爵が一族の歴史を滔々と語るシーンも素敵だった。誇り高い貴族としてのドラキュラがここにはいましたね。確かにドラキュラの描き方は原作に忠実なんじゃないかと思った場面でした。
気品ある伯爵でしたね!